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『忘却の整理学』

外山滋比古著

『忘却の整理学』

 

先月、JAZZピアノで師事している先生のCD発売記念ライブを聴きに、本八幡にある『cool jojo』というライブハウスへ行ってきました。

 

早めに着いたのは良いものの、お茶する間に読む本がない…

 

駅ビルにある本屋さんを見ていたら偶然この本を目にして即購入。

 

外山滋比古先生の『思考の整理学』を以前読み、その後も色々な著書を読んできました。

 

思考の整理学は東大生も読む、というようなことが本の帯に書いてあった記憶があります。

 

自分の母がイギリス人だったこともあり、私はそこまで斬新な本とは思いませんでした。

 

外山滋比古先生は英文学者ということで、西洋人的な視点で『思考の整理学』をまとめられたのだと思いました。

 

よく引き合いに出されるフレーズに

 

見つめる鍋は煮えない

 

というのがあります。

 

これはうちの母もよく言っていました。

 

実際料理をしている時やヤカンが沸騰するのを待つ時に言っていたので、アイデアや思考に通じていることは理解していなかったかもしれません。

 

母はピアノの練習や勉強も、あまり根を詰めることを良しとしませんでした。

 

試験前でも必ず

 

「ランチへ出かけましょう。」

 

「散歩へ行きましょう。」

 

と一緒にお出かけしていました。

 

他のクラスメイトの日本人のお母さんとはだいぶ異なるスタンスでした。

 

みんな食事も惜しんで勉強してるのに、のんびりお昼に出掛けて良いのかな?と思っていましたが、今となってはむしろ母の作戦は正解だったと考えています。

 

脱線しました…今回の本に話を戻します。

 

「忘れる」ことは良いこと

 

それがこの本の最も伝えたいこと。

 

実はこのフレーズ、昨年春に他界されたJAZZサックスプレイヤー、松風鉱一先生もよくおっしゃっていました。

 

音楽に関して言えば、忘れるからまたその曲を新鮮な気持ちで楽しめる。

 

(本人は忘れたと感じても、実は脳の深い場所に記憶は残っているので、まっさらな状態からやるのとは異なる。)

 

読書や映画に関しても、忘れたからこそ、またその物語を楽しめるし、以前理解出来なかったことを新たに分かる楽しみもある。

 

この外山滋比古先生の本を読み、今まで何となく考えていたことが、ハッキリと理解出来ました。

 

教師という立場では、つい、

  

「 覚えてね!」「忘れたの?」

 

と言いがち。

 

理解が伴った時、始めて覚える。

 

理解出来てないことは忘れる。

 

これって暗譜や譜読みと全く同じですよね。

 

人が何かを学ぶには膨大な時間をかけ、忘れて、学んで、を重ねていくことが大切。

 

覚えてインプットするだけはコンピュータの方が得意。

 

忘れるのは人間の特権。

 

とも書かれています。

 

嫌なことや辛かったことは早く忘れたいですよね。

 

私は意外とそういうことを中々忘れられなかったり、ふと思い出したりします。

 

そういうことをずっと覚えていると心が病んでしまいます。

 

忘れられるのは健全な心を持っている証。

 

空手をしたり、好きな音楽を演奏したり、バンドで皆で練習していると、悩みをすっかり忘れています。

 

繰り返し、繰り返し、これらをやっていくうちに悩みや問題の解決策が見つかったり、忘れて良いことは忘れられます。

 

昨日やった練習を忘れてしまって、自分の記憶力のなさにガッカリすることが多々ありましたが、これからはガッカリせず、むしろやる気が増えそうです。

 

読みやすい本なので、ぜひご一読下さい!